a day in my life" ~わたしの一日~ case.137
※「小説すばる」(集英社)2014年7月号より転載
本コラムを書くにあたり、過去の回を参照したところ、他の作家があまりに健全な生活を送っていることを知り、ショックを受けた。が、見栄を張っても仕方ないため、ありのままに申告する。生活が不規則すぎるので、典型的な一日と呼べるものが私にはない。だから以下に示すのは、ほんの一例、乱れ切った氷山の一角だと思って下さい。
早朝四時、就寝。いきなり寝るところから始まる時点で、既に何かが終わっているような気がする。朝十時、全然寝足りないが、仕事があるので起きる。夫(作家)はとっくに起きているが、白々しい笑顔でおはようの挨拶。家事や身支度などをし、十一時頃家を出る。好きな家事は洗濯、何でも洗うよ!
一時間半かけて通勤。車内では読書、メールチェックなど。Edō, ergō sum.な人間なので、ランチは適当に済ませず、ちゃんと美味しいものを食べる。神保町界隈だと、GOOD MORNING CAFE のランチがパワフルでいいですね。
午後一時から六時頃まで、都内にある大学で働く。授業中、必要があって「がんもどき」について喋ったところ、クラスの大半の学生が、そもそも雁という鳥を知らない、聞いたこともないというので驚愕する。「それ、特殊な鳥ですか?」と真顔で尋ねる学生も(特殊な鳥って何よ)。そこで、雁についての常識的説明を始めたところ、「先生鳥マニア~」とゲラゲラ笑われ、この世は不条理だ。秋になったら夕空でも眺めてなさい! と教育的配慮から指導しておいた。
夜、帰宅してすぐ夕飯をこしらえ、八時過ぎに夫と一緒に食べる。「きょう図書館で、こんな奇書見つけちゃったんだけど」という夫の話にフムフム、と耳を傾け……あ、これは、比較的まともな奥さんモードです。ダメ妻モードの場合、帰りにふらふら寄るところがあったりして、なかなか家へ帰れません。「自己調達おねがいしますー」というメールを送り、夫には自力で何とかしてもらう。
入浴や家事など済ませ、十時過ぎからデスクワーク。小説の執筆、調べもの、授業の準備など。やっぱり夜の方が捗るなあ。深夜にガリガリ書き続け、三時か四時頃寝る。
これは平日の例なのでまだマシだが、休日はもっとカオスです。そうそう、拙著『吉祥寺の百日恋』に登場する野良猫たちは、人間とかち合わないよう、どっぷりの夜型生活。正午に目を覚まして「早起きしちゃった」と笑うズレっぷりなのだが、それって結局、作者本人の生態なのかも? 汝自身を知れ!
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