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2014年4月20日 (日)

『暖流』ブログ、はじめました

岸田國士の長編小説、「暖流」。
戦前から戦後にかけて、多くの人々に愛され、幾度も映画化・ドラマ化されてきた作品です。

この名作小説を、ウェブ上で誰もが手軽に読めるようにと、こんなブログを始めました。
岸田國士 「暖流」の世界

上記ブログの特徴とPRポイントは、次の3点です。

1. 『暖流』本文が、Web上で手軽に読める
現在、『暖流』本文をWebで読むことができるのは、このブログだけです。
本作は既に著作権切れではありますが、他所ではまだ、自由にアクセスできるようになっていません。
例えば、国会図書館ではデジタル資料化されていますが、館内限定閲覧。
青空文庫でも未公開です(現在、「作業中」の模様)。
また、紙媒体の書籍にしても、一番新しいものが1991年、岩波書店の全集ということで、一般の読者が気軽に手に取れる状態ではありません。

2. 新かな遣いの、読みやすい表記
出版されている書籍(1991年岩波版など)は全て、1938年連載当時の、旧かな遣い・旧漢字で表記されています。例えば、
「どつちつて別にきまつてませんの。その針、いたゞいてつていゝか知ら……」
という具合ですが、現代の読者にとって、到底読みやすいとは言えません。
そこで今回、読みやすい新かな遣い・新漢字の表記に改めて、ブログに掲載することにしました。

(なお、改訂前の原文を知りたい、という方のために、旧かな版も別途用意してあります。詳しくは、この辺りの説明をお読みください)

3. 新聞連載当時の雰囲気を味わえる
原作は、1938年4月19日から9月19日にかけて、「朝日新聞」で全154回の連載。
そこでこのブログでは、第1話から最終話までを、原作の新聞連載と同じ日付で、毎日掲載していきます。
76年前、ちょうど今日の新聞には、こんな小説が連載されていたんだなあ……
と、臨場感を追体験して頂ければ幸いです。

ぜひ、ご覧になって下さい。

さて、そもそも、『暖流』の全文テキストをどうやって用意しているのかと言えば、これと言って特殊な手段があるわけではなく、ただただ地道に入力しているだけです。
1938年の朝日新聞を見て、書き写して、岸田國士全集(岩波書店・1991)で細かいところをチェックして、本文改訂して……。この繰り返し。

「よくそんな面倒なことやるねえ~」と思われるかもしれませんが、『暖流』は名作だと思いますし、自分でも好きなので、さほど苦にはなりません。
それに、パブリック・ドメイン云々という話とは別に、個人的な動機もいくつかあります。

一つは、今自分が書いている小説の、時代と舞台(大正~昭和戦前期の東京)が、ちょうど『暖流』と重なるため、勉強と下調べを兼ねて。
当時の階級風俗が豊かに描かれている小説なので、とても参考になります。

もう一つは、写経的動機です。
ほら、お経や日本国憲法を、毎日少しずつ書き写してる、っていう方いますよね。
『暖流』は新聞連載なので、1話が1000~1200字ほど。分量的に、ちょうど手頃なんですよ。
不規則でストレスの多い生活を送っている私ですが、毎日決まった分だけ『暖流』を写経している間は、落ち着くというか、心が整って参ります(笑)。

全154話で、4月19日から始まり、9月19日で終わる予定です。
(この、ゴールがきっちり見えているというのも、精神安定上いいのです)

暖流ブログには、純粋に『暖流』のテキストだけを載せることにし、こちらの藍色手帖ブログには、普段の日記と並行して、暖流の原作小説・映画・ドラマなどについて語りたいと思います。
しばらくの間、どうぞおつきあい下さいませ。(坂本葵)

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