トップページ | 2014年3月 »

2014年2月

2014年2月27日 (木)

P-BC吉祥寺店: アートと猫

前回に引き続き、吉祥寺パルコ内の書店、P-BCの紹介。
今回は、<アート>と<猫>の視点から。

私が初めてリブロ系の書店へ入ったのは、中学時代の修学旅行で東京に来たときのことで、渋谷のパルコ地下でした。P-BCも洋書専門のロゴスも、田舎の中学生にはくらくらするような、洗練空間でしたね。リウスのチェ・ゲバラ漫画(原題:「ABChe」)などを買ったせいで、その日はお昼ごはんにも事欠きました(笑)

20140227_01

まあ、それはともかく、本日吉祥寺P-BCで購入したのは、ヒグチユウコさんの初画集です!
帯にある通り、ダークファンタジー系の作風で、前から気になっていました。
例えば、ワンピース姿の猫の幼女に、「どじょう飼ってもいい?」と金魚が尋ねている絵、とか(※この金魚は、二足歩行です)。
そういう動物系不条理の力で、ヒグチ猫やヒグチうさぎが、ヒトの心を鷲掴みにします。

20140227_02

さて巻末に、「作品のできるまで」という25段階の作画風景が、説明・写真つきで載っているんですけど、これがある意味で一番の驚愕でした。

何しろ……ペン画なのに、下絵がない!!

緻密で繊細なペン画なので、さぞ慎重に構想を練ってから、下書きも念入りにかと思いきや、下絵のプロセスはほとんどなし。和紙(←この素材も意外なんですが)に、鉛筆で簡単なアタリをつけただけで、即ペン入れに突入。というか、いきなり猫の瞳から、細部をバッチリ描いていきます。
(※美術学校でこれをやると、真っ先に先生から注意されます。ただし、天才を除く)

ペンだけで描き進めつつ、本能の赴くままに、謎のキノコや魚などの異生物を付け足したり、背景を描き足したり、というスタイルのようですね。※美術学校でこれを(以下略)

何と言いますか、例の有名な「ボブの絵画教室」を思い出してしまいました。
ボブ「ね、簡単でしょう?」

ちなみに私、NHK-BSでの「ボブの絵画教室」を、子供の頃リアルタイムに観ていた世代でございます。「おや? この木、一人で寂しそうですね~。隣にお友達を増やしてあげましょう♪」と言う数秒の間に、リアルな木や湖や山が、あれよあれよと増殖してゆく、あの魔法使いのボブさんです。

これがその、問題のページ(?)です。ね、右側、気になるでしょう?
『ヒグチユウコ作品集』(グラフィック社、2013年)
20140227_03


なお、P-BC店内には、猫雑貨のコーナーもあります。パペットが人気だそうですが、私の目は猫のおしりたちに釘付けです。それでは、今日はこの辺りで~。

20140227_06


リブロ パルコブックセンター吉祥寺店
(吉祥寺パルコB2F)
http://www.libro.jp/shop_list/2009/07/post-33.php

2014年2月25日 (火)

公園で新人賞の選考結果を待っていたら、鷹に遭遇した話

(前回までのあらすじ)

日本ファンタジーノベル大賞、選考会当日。
受賞作が決定し次第、最終候補者には、担当者から電話が入ることになっているのだ。
世田谷城址公園で連絡を待つ、私。
そこへふらりと現れ、向いのベンチに腰掛けた男性が連れてきた生き物は……。
鷹……?!

20140225_01

 まじまじと二度見してしまったのだが、やっぱり鷹である。
この人って、いわゆる香具師か、鷹匠さん? 左手には革手袋をはめ、その上に足輪を付けた鷹がちょこんと座っている。まだ子供のようで、あどけない顔つきと仕草が可愛らしい。人間のおじさまの方は、ベンチに深々と腰掛け、完全にくつろぎモード。うーん、この人、誰かを待ってるのかなあ? でも、鷹同伴で……?

 謎は深まるばかりである。そうこうしているうちに、4時10分、15分、20分……と、時は過ぎてゆき、いつ電話が鳴ってもおかしくない時間になってしまった。これは、かなり、まずいぞ……。というのも、私の中のどうしようもない好奇心が、今やすっかり「」に向けられてしまっていて、もうこれ以上抑えることができないほどに高まっていたからだ。

 でも……。
「あの、すみませんが……」っておじさんに話し掛けた瞬間に、電話が鳴っちゃったらどうしよう。最悪のタイミング、すごく気まずいよね。やっぱり、電話の後で声を掛けた方が……。あ、でも、その前に帰っちゃったらどうしよう。この人(と鷹)たち、もう30分前からここに居るし、そろそろ帰る時間なんじゃないかなあ。ああっ、もうっ、電話電話! 早く掛かってきてよ! この際、選考結果なんてどっちでもいいからさ!!

(↑ほんとにアレですよね、選考員の先生方、すみません。こういう不束者だから落選しちゃうんだよな、まったく……)

 というわけで、興味と関心の対象が、

鷹とおじさんの正体>>>>>選考結果

 にすっかり傾いてしまった私は、意を決して、おじさんに話し掛けることにしたのであった。

「あのう、失礼ですが、その鷹……」
「ああ、この子ね、うちのペットなんですよ」
「ペット?! ご自宅で鷹、飼われてるんですか? もしかして、鷹匠さんでいらっしゃいます?」
「いえいえ、そんなんじゃなくて、ただの趣味です」

 いきなり話し掛けてきた挙動不審の私に対して、おじさまはとってもフレンドリーに答えて下さる。この子は、ハリスホークのタンタン君(※仮名)。2歳の男の子で、引き取ってから三か月ほどになるという。よく見ると、なかなかのイケメン(イケ鳥)!

20140225_02

「ハリスホークっていうのは、アメリカの鷹なんですけど、知能が高くておとなしいので、飼いやすいんですよ」
「タンタン君、お行儀よくて、賢そうな顔してますね~。今ここで、お友達でも待ってらっしゃるんですか?」
「いえ、これは「据え」と言ってね、いわゆる調教だな。こうやって手の上に長時間座らせて、なつかせるわけですよ。時々餌を与えますけど、このままずーっと据えておきます」
「ずーっと、ってどのぐらいなんでしょう」
「ええと、いま何時ですか?」
「4時……40分ですね
 (←っていうか、電話…まだ?)
「ああ、そう。ここに来たのが4時頃だから、まあ、日没ぐらいまでかなー」
「えっ? 日没って……7時頃まで?!」
「うん、だいたい据えには、3~4時間ぐらい掛けるんですよ」
「へえええ~~~
(←未知の世界に圧倒されている)
「そう言うあなたは、ここで何を? 誰かとお待ち合わせなんですか?」
「いえいえいえ、私は、えーとその、電話……。仕事の電話を待ってるだけなんです」

 ふう。危ない。ちょっと、泡食ってしまいましたぜ。
 もし正直に、「日本ファンタジーノベル大賞の選考結果の電話が来るのを、待ってるんです」って言ったら、きっと驚くだろうな……。って言うか、夏の夕暮れの城址公園に、ハリスホークのタンタンと飼い主のおじさまがいて、小説家見習いの女と会話してるって、それ自体が何というファンタジーな光景……。

20140225_03

 まあ、それはともかく、このおじさまは相当の鷹好きらしい。心底から鷹を愛しているようなのだ。ここから先は、鷹にまつわる薀蓄を滔々と語ってもらった。

 面白い話はいろいろあるのだが、猫小説の作者として興味深かったのは、「鷹vs猫」の力関係。猛禽ちゃんvs肉食獣、エキサイティング・バトルです!
で、鷹と猫なら、どう考えても鷹の圧勝だと思うでしょう? ところが、そうとも限らないんですって!

というのも、鳥は暗いところでの視界がきかないため、夜中に寝込みを襲われた場合、鷹ですら猫にやられてしまうらしいですね。やっぱり猫最強(凶)、ってことなんでしょうか。
だから、自宅で鷹を飼う場合には、ベランダに設置した止まり木に夜寝かせるのは危険で、家の中か、籠に入れておかないといけないそうです。猫対策として。ふーん。将来、鷹を飼うときの参考になるなあ(←飼うのかよ)。

20140225_04

 ……というようなレクチャーを受けている真っ最中、ついに私の携帯電話が鳴った。

 結果は、落選でした。

 うーん残念。大賞なら500万円の賞金が出るので、将来鷹を飼ったり鷹舎を造るための資金が確保できたんだけどな! (←だから、飼うのかよっていう)

 いやーしかし、本当に貴重な体験させてもらったので(主に鷹関係により)、全く不満はありません。今後ともたゆまず精進し、鷹に関する知識と愛を深めていきたい所存!

2014年2月21日 (金)

吉祥寺情報の宝庫、リブロ吉祥寺店

坂本葵です。
今回は、吉祥寺にお住まいの方や、吉祥寺好きの皆さんのための記事です。

本日発売の拙著、『吉祥寺の百日恋』。題名から分かる通り、吉祥寺が主な舞台となっている恋愛小説です。吉祥寺をはじめ、京王井の頭沿線の様々な場所が、実在・フィクションごたまぜで登場します。
吉祥寺と言えば、大型書店から個性的な古書店まで、様々な店舗がひしめき合う、本屋の街でもありますよね。物語の主人公は、吉祥寺にある架空の古書店「レムニスケート」で飼われている、美形のシャム猫なのです。

ん、面白そう? 読んでみようかな? と思った方は、ぜひ書店に足を運んでみて下さい。
「どの本屋さんに行けば置いてあるの?」 
少なくとも吉祥寺に関しては、大手書店ならばどこでも取扱いがあるようです。東急の紀伊國屋、コピスのジュンク堂、アトレのブックファースト、パルコのリブロ、サン・ロードのブックス・ルーエ、南口のブックスいずみなど。(※2月21日現在)

中には、とても工夫を凝らして拙著を置いて下さっている書店もあります。そんな本屋さんでのディスプレイに、この記事ではフォーカスしたいと思います。今日紹介するのは、リブロ吉祥寺店です。

リブロ パルコブックセンター吉祥寺店
(吉祥寺パルコB2F)
http://www.libro.jp/shop_list/2009/07/post-33.php

20140221_173615_3

エスカレーターを降りて行き、店内に入るとすぐ、「吉祥寺スタイル」という一角が目に入ります。イベントスペースのような、広々とした空間です。ここは、ガイド本・文芸などの枠を超えて、吉祥寺に関する書籍が集まっている場所。

街歩きやグルメ情報などのガイド本は定番として、ちょっと固めの人文書まで幅広く置かれています。

吉祥寺を舞台にしたもの、吉祥寺在住作家による小説・エッセイなどの「吉祥寺文学」。川上弘美『センセイの鞄』、江國香織『号泣する準備はできていた』、桐野夏生『魂萌え』など。

20140225_162927_2

武蔵野の歴史・文化」。ここはちょっと、渋めの棚ですね。

20140225_163002
丹羽門下」というのは、武蔵野市民だった丹羽文雄の主宰する同人誌、「文學者」の周辺に集まった作家のことで、吉村昭、津村節子、瀬戸内寂聴など。
(詳しく知りたい方は、川口則弘『直木賞のすべて』の中の人が運営しているサイト内、こちらのページをどうぞ)

吉祥寺周辺の出版社」。こんな特集も。吉祥寺の出版社としては、夏葉社、図書出版クレイン、そしてクラシック音楽ファンにはおなじみの、アルテスパブリッシングなどが。
20140225_163017

吉祥寺コミックワンダーランド」。これも、「在住作家」と「吉祥寺が舞台」の2種類です。在住作家としては、楳図かずお、江口寿史、西原理恵子が有名ですよね。

20140225_163629

一番左は、スタジオジブリ特集です(旧スタジオが吉祥寺にあり、ジブリゆかりの地なので)。

20140225_162822

あらためて、吉祥寺本の多さとヴァラエティに驚かされます。

あ、ちなみに、拙著はここにはありません。(書店員さんによれば、そのうち吉祥寺スタイルに移動する可能性があるかも? とのことでしたが)
では今、どこにあるかというと……。

20140221_merge_2

文芸 新刊・話題書」のコーナーです。壁(大きな柱?)一面を使って、大きく取り上げて頂いています。書店員さんに感謝。 そして、注目すべきは……。

20140221_173344

ラクロの『危険な関係』新訳と、一緒に並べられているのです!

(解説: ラクロの『危険な関係』は18世紀フランスの恋愛小説。拙著『吉祥寺の百日恋』は、その現代猫版)

いや~、もう、ラクロ先生の隣に並べてもらえるなんて、一生分の幸運を使い果たしてしまったかもしれませんわ。先生はあの世で、「誰? こいつ」とか思ってるでしょうけど。ヴァルモン子爵にメルトイユ侯爵夫人、今は21世紀になってね、君たちは猫にされてしまったのだよ……。

というわけで。人版も猫版も一度に見られる、パルコのリブロ吉祥寺店、おすすめです! 

ちなみに、新訳の情報はこちら。

ラクロ 著/桑瀬章二郎、早川文敏 訳『危険な関係』 (白水社、2014年1月)
http://www.hakusuisha.co.jp/detail/index.php?pro_id=09905

2014年2月14日 (金)

新人賞をとらずに作家になる!

皆様こんにちは、坂本葵です。

普通、作家は「新人賞」というものを取って、華々しくデビューします。
一方わたくしは、「日本ファンタジーノベル大賞」の、最終候補に選ばれるも受賞には至らず、と思いきや、懐の深い新潮社から長編小説を出版してもらえることになった、という者でございます。

さて、大抵の文学新人賞では、「選考会」というものがあり、有名作家などが選考委員になる場合が多いのですが、そこでの議論によって、受賞作が決定されます。 その間、候補者は何をしているかというと、受賞(または落選)が決定したらすぐに、担当者から電話連絡が入ることになっているため、ひたすら待機しなくちゃならないんです。

選考会は、だいたい数時間ほど掛かりますが、その間とにかく、ビクビクしながら待機、ですよ? 心臓と精神衛生に悪そうですよねー。

で、私の場合、家庭に仕事上のイライラは持ち込みたくないタイプなので、さっさと、世田谷の豪徳寺に避難しました。(別に、近所というわけではないのです。なにゆえ豪徳寺? なのかは後述します)
そうしたらそこに、とってもファンタスティックな出来事が待っていたのです。

……って、肝心の賞は落選したんですけどね(笑)。 でも、受賞を逃した落胆を補って余りあるくらい、本当に素敵な体験だったのです。

というわけで、今回のブログでは、「第25回・日本ファンタジーノベル大賞」選考会当日の、不思議な出来事について書きたいと思います。

(ちなみに、タイトルは、「新人賞をとって作家になる!」という、有名サイトのもじりでございます。あちらは、作家を目指す人のための有益な指南サイトでありますが、そういう目的でこのブログを読んでも、何の参考にもならないと思われます。あしからず)

*

「坂本葵さま
新潮社のYKです。すでにご案内の通り、選考会は明日7月30日、読売新聞本社ビルにて行われます。午後3時から始まり、例年遅くとも5時には終わります。その間は、こちらからの連絡がつくようにして頂けますでしょうか。よろしくお願いいたします」

「新潮社 YKさま
坂本です。選考会が明日に迫り、妙に緊張しております。 午後になるとプレッシャーに耐え兼ねて、豪徳寺の猫神様のところへお参りに行ってしまうかもしれません……(もちろん、携帯電話は持参しますので、ご安心を)」

このあと、編集者YKさんからは、「猫神様云々」が可笑しかったらしいメールが返ってきたのだが、それは省略する。

当日の朝。雀がチュンチュン。私はモソモソ、冴えない目覚め。
こういう日に限って、なぜか仕事が休みなのだ。
やっぱり、家にいるのは気詰まりなので、予告通り午後は、世田谷の豪徳寺へ行くことにする。
なにしろ、応募作『悪党華伝』は、猫が主人公の物語だからね。ここは、猫神様のお力におすがりするしかないでしょう!

2014021401

まずは、猫神様にお参り。
「猫神様、お願いです。選考委員の先生方が、どうか猫派でありますように!

2014021402

いや、頼み方がおかしいのは分かってますけど。でもね、「拙作が受賞しますように」とかだと、他力本願っていうか、なんか厚かましいじゃないですか。
手を合わせ、お賽銭をお納めした後は、豪徳寺名物の招き猫たちを見て癒される。

2014021403

(妄想タイム)

招き猫のリーダー 「みんな、聞いて! 今年のファンノベ大賞にはね、猫が主役の小説が、候補になってるんだって。応援したい猫は、手をあげてっ」
All 招き猫ズ 「はぁい★」

(妄想終了)

……えー、どうも、手前勝手でお見苦しいものを、失礼いたしました。

ところで皆様は、豪徳寺の招き猫の由来をご存じですか?
時は江戸時代、彦根藩第二代藩主・井伊直孝が、鷹狩りの帰りに豪徳寺の前を通りかかった。すると、門前で猫がしきりに手招きをしている。「何だろう」と思って近づき、寺に立ち寄って休息していると、雷雨が降り始めた。ひどい雨に濡れずにすんだのは猫のおかげ、と、直孝は寺に多額の寄進をしたのであった。ということだそうです。
それ以来、豪徳寺は彦根藩・井伊家の菩提寺となりました。井伊直弼の墓も、この境内にあります。有名なご当地ゆるキャラ、「ひこにゃん」が招き猫なのも、そういう由縁によるわけですね。

2014021404

そうこうしているうちに、4時になっていた。
さすがに、神聖な境内で携帯電話を使うのは、不謹慎だろうと思い、すぐ隣の世田谷城址公園へ移動する。公園のベンチに腰掛けて電話を待つことにしたのだが、そこへふらりと、鷹を連れた男性がやって来た。

……って、ええっ?! 鷹……って?!

2014021405

(続きはこちら)

トップページ | 2014年3月 »

フォト

ブログ管理人

  • 坂本葵 | Aoi SAKAMOTO

リンク

最近のトラックバック

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

アマゾン